東京都荒川区町屋にて、時代たんす、お着物、反物、端渓硯ほか書道具、黒漆に唐草蒔絵裏梨地の文箱。

東京都荒川区町屋にて、時代タンス、着物、反物、端渓硯ほか書道具、黒漆に唐草蒔絵裏梨地の文箱をお譲りいただきました。

お引越し前の片付け整理にてお呼びいただきました。出張続きの為、訪問日時の調整・変更で、お客様にはとてもお気遣いいただきました。事前のご相談から当日のご対応までご親切に頂き感謝いたします。ご先祖の代から大事に受け継がれてきていたというお道具たち、六角堂できちんと責任をもって次へと繋げていきます。お忙しい中、ご指名ありがとうございました。

漆器に金粉などを蒔きつけることで、漆器に装飾を施す手法が蒔絵です。蒔絵には種類があり、どのような製法によって制作されているかによっても、その価値は変わってきます。大きく分けて研出蒔絵(とぎだしまきえ)、平蒔絵(ひらまきえ)、高蒔絵(たかまきえ)の3つがあります。

☆研出蒔絵(とぎだしまきえ)
日本で蒔絵を行うようになったのは奈良時代で、当時行われた手法が研出蒔絵(とぎだしまきえ)という手法です。
蒔絵を行うときに金粉や銀粉を付けたい場所に漆を塗ります。その後、漆が乾かないうちに粉を蒔きつけます。漆が十分に固まった後に余分な粉を払いのけると、そこには漆を塗った箇所に沿って金や銀などの装飾が施されるようになります。
当時は金粉などが粗く、漆を塗った箇所に粉を蒔いても光沢がありませんでした。また、漆器に対し強く付着しないという欠点がありました。そこで、粉を蒔きつけた後に漆を薄く塗り、木炭などで金や銀が表れるまで削るという作業を行うようになりました。これが、研出蒔絵です。このような工程を経ると、単に粉を振りかけたときに比べて金銀の光沢が出て、漆器に対して強固に付着するようになります。こうした研出蒔絵の手法が進化して、他の蒔絵が考え出されるようになります。

☆平蒔絵(ひらまきえ)
昔は金粉の形が揃ってなく粗かったものの、これをふるいにかけるなどして均一にする方法が開発されました。細かい金粉を作れるようになると、「漆を塗った後に金粉を蒔きつけ、乾燥させた後に磨き上げる」という手法が行われるようになります。これを、平蒔絵(ひらまきえ)といいます。
研出蒔絵では、金粉の上にさらに漆を塗り、これを磨く作業が必要でした。ただ、平蒔絵の場合は「金粉の上に漆を塗る」という作業を省略し、いきなり磨き上げます。
金粉や銀粉の製造技術が進歩することにより、蒔絵を行う工程が非常に簡単になったといえます。

☆高蒔絵(たかまきえ)
平蒔絵の場合、金粉は薄く平らです。一方、金粉を蒔きつける場所だけを高くした蒔絵手法として高蒔絵(たかまきえ)が考え出されました。
漆を何度も塗り重ねると、その部分だけ盛り上がります。また、炭の粉末と漆を混ぜて使うことで、盛り上げる方法も存在します。いずれにしても、これら盛り上げた部分に粉を蒔きつけることで、立体的な作品に仕上がります。

他にも、研出蒔絵と高蒔絵を合わせた肉合蒔絵(ししあいまきえ)という手法もあり、いくつかの蒔絵を組み合わせることもあります。

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