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東京都江戸川区一之江にて円能斎書付香合、堆黒香合、藤原雄の茶碗など。

 

東京都江戸川区一之江にて円能斎書付ぶりぶり香合、堆黒俱利彫香合、人間国宝 藤原雄の備前茶碗など裏千家茶道具やお着物をお売りいただきました。

不動産業者様のご紹介で、江戸川区へお荷物のお片付け整理でお呼びいただきました。お着物やお茶道具をご処分されたいとご連絡いただき、本日出張買取させていただきました。裏千家茶道の師範をされていたお客様で、たくさんのお道具がございました。思い出のお道具はまだ残されたいとのことで、お客様とご処分されるもの、残されるものを一点一点分けながら査定させていただき、20点ほどのお道具をお売りいただきました。お売りいただいた茶道具は、円能斎書付ぶりぶり香合、堆黒俱利彫香合、人間国宝 藤原雄の備前茶碗など。ぶりぶり香合には円能斎の書付があり、共箱には淡々斎の極め、底には小斎とあります。ぶりぶり香合(振り振り香合)とはお正月に良く使われる香合。江戸時代の子供の玩具で、八角形の槌(つち)に似た形で、鶴と亀、尉と姥などを描き、小さな車をつけて引きずって遊びました。また、平安時代に「振り振り毬杖(ぶいぶりぎっきょ)」「玉ぶりぶり」毬を打つ遊びがあり、振り振りに紐をつけて、打つ遊びとして使われていた玩具からきているとも言われています。溝があるものは紐を付けた穴の名残といわれてます。堆黒の香合は中国製の唐物であります。堆朱や堆黒のものは中国での人気があります。こちらは新しいものでしたが、古いものには100万円を超える高額のものもございます。藤原雄は人間国宝の父・藤原啓のもとで備前焼を修業。世界各地で作陶や個展をつづけ、伝統に近代的な感覚をとりいれた作品で知られております。親子揃って人間国宝(備前焼)となられた作家であります。他にも水指や棗、茶入れなどたくさんのお茶道具、紬や訪問着などのお着物をお売りいただきました。また次にご処分される際にもお呼びいただけるとのこと、楽しみにお待ちしております。本日は六角堂のご指名、ありがとうございました。
今日は中秋の名月。満月は明日のようですが、今夜のお月様も丸く輝いておりました。

圓能斎(えんのうさい)鉄中宗室 1872~1924 
圓能斎は1872年に裏千家12代直叟玄室の長男として生まれました。直叟玄室が周囲からの風当たりが強いのが原因で早くに隠居したために、圓能斎は家督を13歳で継ぎます。その後多くの実力者からの支援を受け、現在の茶道へ通じる道筋を作り、裏千家の隆盛の礎を築いたとされています。明治29年まで6年にわたって東京に居を移して協力者を求め、京都に戻ってからも教本の出版や機関誌 「今日庵月報」などの発行を通して一般への茶道普及に尽力しました。また女学校教育の中に茶道を取り入れ、かつ教授方針の一致をはかる講習会を催すなど裏千家茶道の組織化にも力を注ぎました。その他、三友式の創始や、流し点や大円点の復興などの功績がある。

十四代 碩叟宗室 淡々斎(たんたんさい)1893年(明治26)~1964年(昭和39)
本名は政之助(幼名)、永世、宗叔、宗室  裏千家14世家元 碩叟宗室
13世円能斎宗室の長男として生まれる。30歳のときに、父の没に伴い家元を継承。
この間、書画を日本画の奥谷秋石に学んで、玄石と号して日本画を制作。
そのほか長唄、謡曲、能などに親しみ文化人としての自我の研鑽に努めている。
主な業績としては伊勢神宮を始め、各地の寺、神社においての献茶式をこなし、
また茶道文化の海外進出にも視野を広げてヨーロッパ、アメリカなどを外遊。
さらに、1940年には裏千家統一の為に「淡交会」を結成、49年には「財団法人・今日庵」を結成、
また、その後国際茶道文化協会を設立するなど、日本全国及び海外に支部を設けて
益々の隆盛につなげ、近代裏千家中興の祖として、1957年に茶道界として最初となる紺綬褒章、
紫綬褒章を受章、没後、征四位勲三等旭日中綬章を下賜されている。

藤原雄(ふじわらゆう)1932~2001年
1932 岡山県備前市にて藤原啓の長男として生まれる
1955 明治大学文学部卒業。父啓のもとで備前焼の製陶技法を学ぶ
1963 バルセロナ国際陶芸展グランプリ受賞
1967 日本陶磁協会賞受賞
1973 金重陶陽賞受賞
1975 岡山県文化奨励賞受賞
1980 岡山県重要無形文化財認定
1984 山陽新聞社文化賞受賞
1985 岡山県文化賞受賞。紺綬褒章受章
1986 日日新聞社芸術文化功労賞受賞。中国新聞社文化賞受賞
1988 日本工芸会理事就任
1990 芸術選奨文部大臣賞受賞
1996 重要無形文化財保持者認定。日本工芸会参与就任
1997 明治大学特別功労賞受賞。備前陶友会名誉会長就任。三木記念賞受賞
2001 逝去